コラム

2019.12.23

デザインの現場にデッサン力は必要か

すっかり寒くなりました。
朝は布団の中が気持ち良くて出たくない!
このまま冬眠ができたらどんなに幸せだろうと思う、年々寒さが身にしみる元澤です。

スマホイメージ

最近の休みは、家の中でデッサンや模写を学生時代ぶりに始めました。
やり始めの頃はHBの鉛筆1本だけを使い、普通紙(コピー用紙)に落書きをする程度でした。
描いていくと、白から黒への色の濃淡が、もっと欲しいと思ったり、
普通紙ではなく画用紙に描きたいなと思ったり、
だんだん拘りが出てきてしまいました。
そうなると止まらない私は、家中の鉛筆をかき集めて、ない物は買い足し、
H・HB・F・B・2B・3B・4B・5B・6Bの鉛筆を用意し
画材屋さんで画用紙を購入しました。
大好きな音楽と美味しいコーヒーを飲みながら、無心で趣味を楽しんでおります。

私のデッサンの基盤

私が学生の頃、日本の美術界は見たものを見たままに写実する事が重要視していました。
なので、写実的であるかどうかが、絵がうまいか否かの基準になっていたのです。

高校を卒業した後、デッサンの授業が大半を占めるカリキュラムの美術学校へ行きました。
デッサンの日は、授業が始まる前に、鉛筆を削るのが私の習慣。
よく使う鉛筆は、hやhb、f、2b、3b(人によりますが。。)です。
それには理由があります。広い面積を暗いトーンにする場合、画用紙の凹凸は色の調子を悪くします。
色の表現を美しくするために、hbやfで画用紙の凸凹を潰す作業をします。
なので、それらの鉛筆の減りがとても早かった。
それと、使いたい時に鉛筆が良い状態で使えるように、はじめる前に準備をしておく事もデッサンはとても大事だと私は思っています。

スマホイメージ

デッサンは、真っ白な画用紙にモチーフを描き上げます。
画用紙のどの位置にモチーフをバランスよく描くのか、「構図」がデッサンの一番の肝になります。
構図が失敗してしまうと、もう修正はききません。なので構図は納得するまで、時間がかかっても諦めずにやります。

デッサン力があると、空間や立体感、影の陰影が感覚で分かります。
そこまで自分に情報を集めて蓄積するのには、とても時間がかかりました。そして先生にも、かなり鍛えられたと思います。
先生たちからは、デッサンを言語化して教えてもらう事もありました。そのテクニックは目からうろこ状態でした。
でも、この手の話しをした後は、必ずこう言うんです、「所詮小手先だけの鉛筆のテクニックでしかない」と。

寝ても覚めてもデッサンをしてきた学生時代、
デッサンの力を鍛えていくうちに、自然と立体の感覚が身についている事に驚いたのもこの頃でした。

デッサンは写実表現の筋トレ

よくスポーツ選手は、自分のパフォーマンスを上げるために
筋トレを毎日欠かさずしますよね。
デッサンも同じような事が言えると思っています。
デッサンの写実性を上げるためには、毎日の訓練は必要だと思います。
スポーツでは、この間できなかったパフォーマンスが毎日のトレーニングでできるようになったという話しがありますよね。
デッサンも訓練を続ける事で、見えなかった(見ようとしなかった)影が、見えるようになるという事は、大いにあります。
その影があるか、無いかでは表現がガラッと変わってしまうのもデッサンの面白いところです。

「デッサンで影の陰影の情報が蓄積していると、カラーの絵を描く時、その絵の表現を豊かにする」と、先生はよく言っていました。

油絵や、日本画は、水彩画のように、少しずつ色を重ねる手法ではありませんから、
どんどん色を決め、躊躇する事なく描き上げて行きます。
まさに、デッサン力が必要です。

デザインの現場にデッサン力は必要か

タイトルにもしました、これについては賛否両論だと思います。
20年前、大手企業のデザイン会社の面接では、
デッサンの試験があったと聞いた事があります。今はどうなんでしょうね?

日本人で有名なコンビニのロゴやパッケージなどのデザインを手掛けているデザイナーさんは、デッサンは必要だと言っているそうです。でも、デッサンが描けない人が優れた作品を作れないというわけでもないと思うんです。

うちの会社はwebの会社ですから、
デッサンよりも、コードを読める方が断然いいですよね。(笑)
映画マトリックスでは、主人公の仲間の一人がモニターに映し出された英数字から、
「赤いヒールを履いた女が見える」という驚愕のセリフがありました。
そこまで読めなくてもいいとは思いますが、基本のHTMLぐらいの知識は、webの会社ですから必要かもですね。。。汗

私が思うに
これはデッサンに限らずですが、
目の前の事を突き詰めて考えるとか
物の見え方や考え方を色々な角度から思考する
要は「観察力」がデザインの現場では必要なのではないかなって思うんです。

私自身、偉そうな事を言っていますが、実はまだまだなんですよ。

美術の学校を卒業して、まさかITの業界に身を置いているとは思ってもみなかったです。
あの頃の私に言ってあげたい。
パソコン苦手とか思わずに、鉛筆や筆ばっかり持ってないで、
「これからはITだょ。」って。

今、どんな勉強をしているか、どんな仕事をしているかに関係なく、ITの世界はあらゆる人を受け入れてくれるだけの
可能性を持っています。この業界で、自分がどこまでできるのか、何を生み出せるのか…
そういったことを考えながら、日々お客様のお仕事に取り組ませていただいています。

スマホイメージ
※映画「ノッティングヒルの恋人(1999)」より、書店の店員ウィリアム(ヒュー・グラント)の模写